SHINICHIRO ARAKAWA JOURNAL

2026年6月24日

バイクファッションは、これからどう進化していくのだろう。エンドユーザーの嗜好を、二輪業界は把握できているのか。
ファストファッションとハイブランド。一般衣料で起こっている二極化が、バイクファッションの世界でも起こっている。メーカーと、私たちバイクアパレルブランドのアイデンティティが、今問われている。

流行の変遷――「誰もが同じ格好をした時代」の終焉
オートバイの持つ大きな魅力の一つとして、ファッション要素は欠かせないものです。しかし現在、ユーザーの嗜好もファッションも多様化を極め、販売店もメディアも、かつてのような分かりやすい「ヒット商品」を構築できない現状があります。

振り返れば、レーサーレプリカ全盛期だった1980年代後半は、誰もが同じようなライディングウェアやレーシングスーツに身を包んでいました。その後、SRやアメリカンバイクのブームからハーレー文化が花開いた1990年代初頭には、アメリカンカジュアルや革のライダースジャケットが街の若者たちのトレンドとシンクロしながら大流行。オリジナルブランドが次々と誕生し、ライダースやワークブーツは定番化するかに思われました。しかし、時代はそう単純には進まなかったのです。

少なくとも2010年頃までは、テレビや映画、漫画、雑誌といったメディアが絶大な影響力を持っていました。「あの芸能人が乗っていたバイクと、あのウェアが欲しい」――そんな風に誰もが同じトレンドを追いかけた時代は、インターネットとスマートフォンの普及によって、完全に過去の現象となったのです。

代表・荒川眞一郎が語る「バイクファッションの二極化」と確かな兆し
では、これからのライダーの装いはどこへ向かうべきなのか。当ブランドの創立者であり、デザイナーの荒川眞一郎は現在の潮流をこう分析します。

「バイクファッションも全体的に完成されて飽和期に入って久しく、これからはレーシングに寄った機能性の高いウェアと、より普段着に近くて機能性の高いウェアとの領域が完全に離れていく気がします。バイクをファッションとして捉える方向と、レーシングな乗り物として捉える方向とでも言いましょうか…。

そして、レーシングな方向は、よほどのカリスマライダーが登場しない限り、少し時代から取り残されそうです。そんな中で、街中でバイクを知らない人達が振り返ってしまうような、洒落たライダーが増えている気配を感じます」

この「バイクファッションの二極化」は、現在の一般アパレル業界の状況と見事にリンクしています。

安価で実用的なファストファッションが支持を集める一方で、高品質・高価格帯なプレミアム商品の需要増加という現象が、バイクアパレルの世界でも間違いなく起きています。レーシングスーツやレザージャケットが原材料高騰によってさらなる高額商品となる一方で、新規参入ブランドが価格破壊ともいえるリーズナブルなライディングウェアを打ち出してきているのが現状です。

私たちが歩むべき道――「流行なき時代」に、街往く人が振り返るスタイルを
このような激変する状況のなかで、二輪業界、そして私たちバイクアパレルブランドが果たすべき役割とは何でしょうか。

それは、多様化するバイクのカテゴリーごとに的を絞った「トータルコーディネートの提案」に他なりません。125ccクラスのコミューターに乗るユーザーと、大排気量の大型バイクを駆るユーザーとでは、ウェアに求める機能もファッションの嗜好も大きく異なります。ひとくくりに「ライダー向け」とする時代は終わったのです。

かつて、SHINICHIRO ARAKAWAがHonda(ホンダ)とのコラボレーションを発表し、二輪界に「機能とデザインの融合」という新たな価値観を提示したように――。

これからの「流行なき時代」が求めているのは、バイクメーカーとアパレルブランドが美学を共有し、「機能とデザインを両立し、街往く人が思わず振り返る」ような洗練されたバイクファッションの形。

私たちはこれからも、単なる安全装備に留まらない、大人のライダーの品格と走る歓びを満たすスタイルを提案し続けます。あなたのバイクライフに、妥協のない洗練を。

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