ライダースカフェから発展した、複合型施設「宮ケ瀬ヴィレッジ」

2025年8月7日

都市型ライダーの憩いの場「ユナイテッドカフェ」が宮ケ瀬にOPENした新たな聖地とは?

カフェレーサーが英国発祥の文化であることは、誰もが知るところである。カフェに集まったライダー達が、街道レースに興じる。その場に集う改造車とライダーを、カフェレーサーと呼んだ。

アルコールを摂取できない彼らにとって、カフェは憩いの場であり情報交換の場でもあった。英国をはじめとして欧州では、ライダーが集まるカフェが市街地に点在する。そんな環境は、現在でも変わらない。

発祥の地の一つである「エースカフェ」はロンドンにある。つまりカフェレーサーは都会派ライダーという訳だ。では我が国、例えば東京はどうだろうか?残念ながら日本の都市型ライダーの現実は極めて厳しい。2006年の道路交通法改正により、二輪車であっても容赦なく駐車違反金を支払わされるようになった。これはあるべきバイクの利便性を根本的に否定する道路交通法処置であるので、今後も真剣な議論が必要であると考える。

前置きが長くなってしまったが、バイク乗り、ライダーと呼ばれる人たちは「止まり木」になり得る場所を欲している、と思われる。しかし、我が国では先に述べた厳しい駐車事情ゆえに、気軽にバイクを路肩に止めてコーヒーを飲むこともままならない。数少ない二輪駐輪場を検索している間に、便利な自動販売機が目についてしまう。

そんな行き場所のないライダーの気持ちに応えるように2006年以降、いくつかのライダースカフェが東京やその近郊にオープンした。ユナイテッドカフェ(世田谷)は2012年にオープン、近郊はもとより遠くからもライダーが訪れる人気店である。今回紹介する「宮ケ瀬ヴィレッジ」はこのユナイテッドカフェ宮ケ瀬店を中心に、数々のコンテンツを展開し話題になっている。

ユナイテッドカフェ(世田谷)と宮ヶ瀬ヴィレッジはイベント会社を営む松原さんがオーナーである。松原さん自身も相当なバイクフリークで、ツーリングからレースまで幅広くバイクライフを堪能している。ユナイテッドカフェ(世田谷)も開店当初からいわゆるライダースカフェの枠を超えて、イベントや展示を行い、メディアにも取り上げられる有名店となった。しかし新型コロナウイルス感染症によってユナイテッドカフェは勿論、松原さんの本業であるイベント業も窮地に立たされる。

その逆境を乗り越えるべく松原さんが思案し、絞り出した答えが「ライダーの聖地、宮ヶ瀬ダムに通じるワインディングの入り口に、複合施設を造る」というものだった。松原さんは1000坪以上の土地を入手して、自身の手で重機を扱い土地を整備、施設内の建造物までも手掛けた。完成までは数年を要したが、コロナ渦におけるキャンプブームとバイクブームがまさに追い風となった。

「宮ヶ瀬ヴィレッジは、山や湖に囲まれた自然の豊かな地域に2023年の夏に誕生しました。都心からクルマやバイクなら約1時間程度で大自然を満喫できることから、ドライブ&ツーリング愛好家に親しまれています。私たちは、ほっと一息つける"山あいのドライブイン"をコンセプトに、サービスを提供しています」
現在では様々なバイク業界のポップアップやイベントなどが2週替わりで行われている。一般ライダーは勿論二輪業界でも認知され、メーカーとコラボイベントが開催される聖地に急成長しているのだ。

カフェ、展示コンテナ、BBQガーデン、イベントスペース、ゲストハウス、テントサイトなど、様々なニーズに寄り添ったサービスを展開。クルマ好きやライダーは元より、その人達のそばにいる人々の嗜好までも視野に入れた、現代ならではのビジネスモデルである。

言うならば「モビリティリゾートもてぎ」がまさにこの複合型施設と言える。「宮ケ瀬ヴィレッジ」はライダースカフェの発展形として、バイク乗りの動線、つまり行動範囲内に同じコンセプトを実現してしまったことになる。

バイク+(プラス)という発想。バイクやパーツを売るだけではなく、エンドユーザーの家族・LIFEにまで思いを馳せることも、今後の二輪業界発展には欠かせない。宮ケ瀬ヴィレッジの成功は、それを雄弁に語っている。

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