機能とファッション性を見事に両立し、ライダーのみならず、幅広く認知されているのが、英国ブランドBELSTAFFだ。100年に及ぶ伝統と、確かな技術で生産される商品は、多くの著名人に支持されている。

2023年8月7日

現在の新車オートバイの売り上げはどうなのだろう。2022年全クラス合計の年間出荷台数(日本自動車工業会)は2021年の37万8720台に比べ4.4%減少の36万2082台。しかしながら小型二輪車(251㏄以上)では前年比20.7%増加して10万0889台(全国軽自動車協会連合会)となった10万台を超えは1998年の10万4744台以来で24年ぶりとなった。

全体数が当時に及ばないのは125㏄以下の売り上げ低迷が要因だ。とにかく物価高騰が騒がれる我が国で、高額な中型・大型バイクの販売が好調であることに疑いの余地はない。

コロナパンデミックによる単なる移動ツールならば、250㏄以上のバイクを購入する必要はない。間違いなく、現在はプチ・バイクブームなのである。特に女性の免許交付件数が2021年は前年比約130%も増加(警視庁データ)。二輪業界としては女性ユーザーを対象としたイベントやサービスの充実に努め、このブームを一過性のものとしない努力が求められている。

女性ユーザーの心をしっかりと掴むためには単なる「スポーツジャンル」としてではなく、バイクの世界を「ファッション」として楽しめる要素も提供しなくてはならない。

着ることによってある種の優越感まで得られる伝統ある英国プロダクト、その代表格が「BELSTAFF」(ベルスタッフ)である。ベルスタッフは1924年にイギリスで創業。世界で初めてワックスコットン(オイルが塗り込まれた防水生地)を開発した。チェ・ゲバラやスティーブ・マックイーン、サミー・ミラーなどが愛用した。現代でも多くのハリウッドスターたちが銀幕の中でベルスタッフを纏っている。

他にもライダーに愛されている英国ブランドに、ルイスレザー、エアロレザー、ドクターマーチンなどがある。これらは単なるバイクウェアではなく、洗練された「ファッションブランド」として支持されている点を見逃してはならない。

ベルスタッフの定番人気商品トライアルマスターは、重厚なレザーではなく、先述のワックスコットン。そのため女性にも馴染みやすい。日本人、特に女性はブランドに弱いと言われているが、そうではない。「価値を見極めている」のだ。ブランドの魅力は時に「ベルスタッフを着たいから英国車を選ぶ」といった逆転現象を生むことさえある。

ハード面ばかりに囚われ、単なるファッションと、バイクウェアを軽視してはならない。ファッションとは文化であり、日本に確固たる「モーターサイクル文化」を定着させるためにも、二輪業界や販売店も本当に良いものを見極め、ユーザーに提供する見識を持たねばならない時代が来ている。

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