「何を着ればいいの?」そんな言葉を投げかけられたことはないだろうか。二輪量販店で買えるブランドの存在こそが今、重要なのである。
バイクが売れている。2020年の二輪車販売台数(原付きを除く)は14万2000台。前年から14%の売り上げ増となり、二輪免許交付件数も9.8%増加した。人気機種の中には納車に半年以上かかるケースも珍しくない。同時に中古車価格も上昇し、新車価格を上回る価格で取引される車両が多数存在する。この現象はコロナ禍における「3密」回避の手段としてではなく、純粋な趣味としてバイク人気が再燃している事実を明確にしている。
90年代と違うのはリターンライダーと若者ライダーの2世代が現在のバイクブームを牽引しているということ。人気モデルの傾向は幅広く、世代による隔たりはない。しかしファッションの好みは年齢によって明確に違う。そこにバイク・アパレルは対応を迫られている。ファストブランドの台頭によって、若い世代は価格に対する感覚が厳しい。一般衣料と比較して高額なライディングウエアをどのようにユーザーに普及させるのかが大きな課題となる。それは利益追求という観点のみならず、ユーザーの安全を守るという二輪業界全体で考えるべき問題である。
今回紹介するS.K.Y.incは9ブランドを展開。ネットによる通信販売はもちろん、関東(北関東を含まず)だけでも48店舗の二輪量販店で購入することができる。2001年の創業以来、全国の量販店にGREEDYを中心に展開し、ライダー共に歩んできた。
GREEDYはカジュアルなデザインに安全機能をしっかりと付加したラインアップで幅広い年齢層に支持されているS.K.Yの看板ブランド。この夏の新作GNS-032 メッシュツーリングジャケットは肩・肘・脊椎4点パッド標準装備。他メーカーの胸部プロテクター、hit-airチェストプロテクター、RSタイチ社製CPSシステムにも対応する。ライディングウエアとしての機能と安全を両立しながら15,400円(税込)はとても魅力的な価格である。
取締役の会田さんはこう語る。「ファストファッションによって高価なブランドが淘汰され、コロナ渦中で国内ブランドの存続すら危ぶまれている時代です。今後のバイク・アパレル業界に課せられたテーマは、どれだけユーザーに寄り添えるかだと考えます。世代が二極化した市場で、何を購入すべきか迷うユーザーのために、自分が着たらこうなる、このバイクに合わせたい、あの場所に行くならこれを、といったような具体的なイメージ発信をしたいのです。ウェブや動画、SNS,などを使いこなしながら、メーカーからの一方通行ではなく、ユーザーとのコミュニティを作り、訴求してまいります」
若い世代とリターンライダーの共存。この状況が二輪業界にとって追い風であることは間違いない。幅広い年齢層と多種多様なライダーの趣向にバイク・アパレルは対応できるのか?今秋のS.K.Y.incの動向、新商品に注目したい。