そんなライダーの幅広いニーズに応えているのがSHOEI。近年では定番モデルの他に、クラシカルで斬新なモデルが登場。男女を問わず、幅広い年齢の注目を集めている。
1959年の創業以来、日本のモータリゼーションと共に歩んできたSHOEI。現在では日本製プレミアムヘルメットとして世界でトップシュアを誇っている。人気モデルは継続的に進化し、斬新でクラシカルなEX-ZERO・Glamster、オフロードモデルのVFX-WRなどの洗練されたデザインは新たなファンを生み出した。的確な商品展開と閲覧しやすく整理されたHP、ショールームのオープンなどブランディングにも成功している。今回はそんな注目のブランドSHOEI商品企画部の田上さんにお話しを伺った。
「ヘルメットデザインに関して、社内で一貫したコンセプトは特にありません。必ず商品を企画の段階で、新商品の立ち位置をラインアップの中で明確にするようにしています。弊社の商品展開の強みは、各モデルのコンセプトが明確であるいう点にあります。その部分を大切にしてデザインに反映しています。EX-ZEROは、クラシックジェットのJOというモデルが先にあって『このタイプのフルフェイスが欲しい』というユーザーさんの声を反映させて頂いた経緯があります」
世界各地でライダーの傾向は当然異なる。レースやスーパースポーツが人気なアジア地域ではトップモデルX-Fourteenやスポーツジェットが人気であるという。バイクの嗜好が多様化している日本やヨーロッパ市場はどうなのだろうか。
「国内での人気モデルはGT-AirⅡです。インナーサンバイザー(ヘルメット内部の収納式スモークシールド)の利便性、スポーティー過ぎず使用車種を問わない『デザインの汎用性』が人気の秘密ではないかと思われます。商品全体での人気色はマットブラックです。日本では相変わらず『白』の人気も根強いですが、ヨーロッパでは圧倒的にマットブラックが人気です」
2020年3月、東京都千代田区外神田に「SHOEI Gallery TOKYO」をオープン。全商品の閲覧・試着が可能になり、ユーザーの声をダイレクトに聞ける環境が整った。フィッティングサービスにより、購入後のアフターフォローも充実。
「ショールーム開設で持ち込みでのヘルメットの内装調整に対応できるようになりました。ヘルメットが大きすぎると走行風でぶれて集中力が持続できなくなり、深く被りすぎると前方視界が狭くなる恐れがあります。できればきっちりと計測をしてから購入して頂きたいです。サイズ選びはとても重要です」
2019年モーターサイクルショー、SHOEIはヘッドアップディスプレイを備えたコンセプトモデルを発表した。未来のヘルメットはどのように進化をするのだろうか。
「弊社のコンセプトにパッシブセーフティーとアクティブセーフティーがあります。もしもの時の安全性は勿論、アクティブセーフティーの更なる充実を目指します。快適性を高めることで集中力を持続させ、楽しみながら安全なライディングを追求していく弊社の姿勢は変わらないと考えます」
安価な海外モデルも多く出回っている市場で、国産プレミアムヘルメット・SHOEIが輝きを放っている。安全性と快適性を両立し、洗練されたデザインが今後もライダーを魅了するだろう。SHOEIの掲げる「パッシブセーフティー」(衝突安全)と「アクティブセーフティー」(予防安全)、特に後者は我々二輪業界全体で共有するべき理念である。